昔ながらの鉄製フライパンでは食材が焦げ付くことが多かったのですが、現在ではテフロン加工フライパンが一般的になっています。
中でも、フッ素系のコーティングを施したテフロンといった素材が広く知られています。
これらのフライパンがなぜ焦げ付かないのかを見ていきましょう。
フライパンの焦げ付きの原因は何か
フライパンの表面には、肉眼では見えない水分の膜が存在します。これを吸着水と呼びます。
食材をフライパンに置くと、その食材の水分が吸着水と結びつくのです。
その結果、食材の水分に含まれるたんぱく質や糖分が吸着水と反応し、加熱によって固まってしまい、焦げ付きの原因になります。
そこで、フライパンに特別な加工を施すことで食材がフライパンに焦げ付くのを防ぎます。
一般的なフライパンでは、油を使用して食材と吸着水との間に油膜を作り、直接の接触を防ぐことで焦げ付きを予防しています。
テフロンコーティングとは
テフロン加工フライパンに用いられる素材は、一般にフッ素樹脂と称されます。
フッ素樹脂の中でも、アメリカのデュポン社が最初に開発したテフロンが特に有名です。
テフロンの正式な名前はポリテトラフルオロエチレン（PTFE）で、この名称からテフロンという呼称が生まれました。
テフロン以外にも様々なフッ素樹脂があり、それらは長い炭素原子の連鎖にフッ素原子が結びついて構成されています。
フッ素コーティングされたフライパンは、主にアルミニウム製のフライパンにこのフッ素樹脂がコーティングされています。
テフロン加工フライパンの非粘着性のメカニズム
テフロンの主要成分であるフッ素と炭素の間の強固な結合により、他の物質と結びつくことがほとんどなく、フライパンの表面での化学反応が最小限に抑えられます。
また、テフロンの撥水性がフライパン表面の水分を減らし、食材との直接的な接触を防ぎ、焦げ付きを防止します。
さらに、食材から出る余分な水分もフライパンと食材の間に溜まりにくくなります。
テフロン表面の微小な凹凸が空気の層を作り出し、フライパンと食材の接触面積を減らすことで、料理の焦げ付きを防ぎます。
テフロンは耐熱性にも優れており、マイナス240℃から260℃の幅広い温度範囲で使用可能です。
フッ素樹脂はその多用途性から、フライパン以外にもアイロン、炊飯器、電気ケトル、ホットプレート、電気ケーブルの被膜、傘、衣服など、様々な製品に使われています。
テフロン加工フライパンの効果的な使い方
テフロン加工されたフライパンは適切に使用しないと、フッ素樹脂コーティングが早期にダメージを受けることがあります。
テフロン加工フライパンを長持ちさせるためには、以下のことに注意が必要です。
空焚きをしない
テフロンの耐熱限界は260℃です。
空焚きをすると、この温度に短時間で到達し、フライパンが過熱するとテフロンコーティングが剥がれる原因になります。
熱いフライパンを急に冷まさない
フッ素樹脂とフライパンの素材（アルミなど）は、温度変化に対する膨張率が異なります。
調理後に熱いフライパンを水で急に冷やすと、膨張率の違いがフッ素樹脂を素材から剥がす原因となり、コーティングの剥離に繋がります。
尖った金属製ヘラは使用しない
テフロンのフッ素樹脂コーティングはデリケートであり、尖った先を持つ金属製ヘラの使用は避けるべきです。
この種の調理器具を使うと、テフロンの表面を削り、剥がれの原因となります。
そのため、木製のヘラや耐熱性のあるプラスチック製の調理器具の使用がおすすめです。
中火以下での調理を心掛ける
高火力での調理はフライパンの温度を上げすぎ、テフロン加工を損傷するリスクがあります。
フライパンを長持ちさせるには、中火以下の温度で調理することが理想です。
調理後は食材を早めに取り出す
テフロンの表面には微細な穴、ピンホールがあり、これが食材の成分を吸収することがあります。
調理が終わったら、食材をフライパンに残さず、早めに皿に移し替えることが重要です。
硬いスポンジで洗わない
テフロンのコーティングは傷つきやすいため、洗浄時には金属たわしや研磨剤入りの洗剤の使用を避け、柔らかいスポンジの使用が推奨されます。
まとめ：テフロン加工フライパンの効果的な使用とお手入れ
テフロン加工されたフライパンは、アルミニウムの基材にフッ素樹脂をコーティングしています。
フッ素は他の物質と反応しにくく、撥水性が高いため、焦げ付きを防ぎます。
テフロン加工フライパンの耐久性を保つためには、コーティングを傷めないように適切な使用方法とお手入れが必要です。
