大人になると鉛筆を使う機会は減るかもしれませんが、学生時代にはよく使っていたはずです。
しかし、鉛筆の芯に何が含まれているかはご存じですか?
「鉛筆」という名前では鉛が含まれていると思われがちですが、実は鉛は含まれていません。
鉛筆の芯について解説していきます。
鉛筆の基本
鉛筆の芯の主成分
鉛筆の芯は、グラファイト(黒鉛)と粘土が主成分です。
これらを混ぜ合わせて棒状にし、1000℃以上の高温で焼き固めて作られています。使用されているのはすべて天然の素材です。
グラファイトは炭素で構成される鉱物で、石炭やダイヤモンドと同じカテゴリーに属します。英語では「graphite」と呼ばれ、鉛は含まれていません。
鉛筆芯の濃淡と硬さの差
鉛筆の芯には、濃いものから薄いものまで様々な種類があります。
グラファイトと粘土の配合比率を変えることで、書く文字の濃淡が変わります。
粘土は小学校の工作にも使われるなじみ深い素材で、陶器や磁器、瓦などの材料としても用いられます。
熱を加えて焼くことで硬化し、冷めた後も元に戻らない特性があります。
粘土を多くし、グラファイトを少なくすると硬い芯ができ、その逆で柔らかい芯ができます。
鉛筆で紙に文字が書けるのは、芯のグラファイトが紙に摩擦で削れて付着するからです。
硬い芯ではグラファイトが少なく削れるので、紙に付着するグラファイトも少なく、文字は薄くなります。
反対に、柔らかい芯ではグラファイトが多く削れるため、紙に付着するグラファイトも多くなり、文字は濃くなります。
たとえば、HBの芯はグラファイト65%、粘土35%の割合で混ぜられています。
鉛筆の硬度区分
鉛筆の硬度は、日本産業規格(JIS)で定められた17の階級に分けられます。
硬度の範囲は9Hから始まり、6Bで終わります。9Hは最も薄く硬いもので、6Bに進むにつれて濃くて柔らかくなります。
「B」はBlackの略で、濃い書き心地を表します。一方で「H」はHardの略で、硬い芯を意味します。「F」はFirmの略で、「しっかりした」という意味があります。
一般的には2Hから2Bの範囲の鉛筆が広く使われていますが、3Hから7Hの硬度は主に製図用に、8Hと9Hは非紙製素材に書くために、3Bから6Bはデッサンや美術用に使用されます。
消しゴムで鉛筆文字を消す仕組み
紙に書かれた鉛筆の文字は、グラファイトが紙の繊維に組み込まれている状態です。
消しゴムは、このグラファイトを紙から引きはがし、包み込むことで取り除きます。
これが鉛筆文字が消しゴムで消える理由です。
一般的な消しゴムは、ポリ塩化ビニルなどのプラスチック素材で作られています。
色鉛筆の基本
色鉛筆の芯の素材
色鉛筆の芯は、色を出すための顔料、ロウ(ワックス)、柔らかい鉱物であるタルク、接着剤を混ぜて作られます。
色鉛筆の芯は紙の繊維に浸透するため、通常の消しゴムでは消すことができません。
日本産業規格(JIS)によると、色鉛筆には48色の標準色があり、それぞれに特定の色度が設定されています。
色鉛筆では焼き固める工程がないため、芯が折れやすいという特徴があります。
これを補うため、色鉛筆の軸は均一な力がかかるように円柱形に成型されています。
色鉛筆の硬度の差
色鉛筆は一般の鉛筆と異なる素材や製法が用いられており、硬質、中硬質、軟質の3つの硬度があります。
硬質は製図用、中硬質は事務や図画用、軟質は陶磁器や金属などの非紙素材への使用に適しています。
色鉛筆の硬度は、ロウや接着剤の配合比によって調整されます。
まとめ:鉛筆と色鉛筆の概要
鉛筆の芯は主にグラファイトと粘土から成り立ち、その混合比によって文字の濃淡が変化します。
色鉛筆の芯は顔料、ロウ、タルク、接着剤から作られ、これらの組み合わせによって色と硬度が決まります。